トランプ氏の関税発言で下落したビットコインは今後どうなる?
- ビットコイン
- 2025.05.25.
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- トランプ氏の関税発言で下落したビットコインは今後どうなる?
2025年5月22日に1,600万円台に突入したビットコインは、そのまま上昇を続けるかと思われていましたが、5月23日の夜になって一気に下落し始め、翌5月24日には1,520万円台にまで下落してしまいました。
それまで上昇傾向にあったビットコインが一気に下落した背景には、米トランプ大統領の関税発言があったとされています。
トランプ大統領の関税発言がどう影響したのかをご説明するとともに、今後のビットコインの展望について、現時点で分かっていることをご紹介しましょう。
アナリストなどが具体的に価格予想している報道などは現時点で見当たりませんが、ビットコインを取り巻く環境がどうなっていくのかは幾つか報じられており、その情報を知っておくことで仮想通貨FXを取引する際の参考になるはずです。
トランプ大統領の関税発言とその影響
2025年5月23日、ニューヨーク市場における取引が開始される直前に、ビットコイン価格が大きく下落しました。
その原因とされるのが、トランプ大統領がEU(欧州連合)からの輸入品に2025年6月1日から50%関税を課すと発表したことだと言われています。
画像引用:truthsocial.com Donald J. Trump
貿易において米国を利用することを主な目的として設立された欧州連合(EU)は、非常に扱いにくい存在です。
強力な貿易障壁、付加価値税、法外な企業罰則、非金銭的貿易障壁、通貨操作、米国企業に対する不当かつ不当な訴訟などにより、米国との貿易赤字は年間2億5000万ドルを超え、これは全く容認できない額です。
EUとの協議は行き詰まっています!
したがって、私は2025年6月1日からEUに対して50%の関税を課すことを推奨します。ただし、製品が米国で製造または建設された場合は関税はかかりません。
この問題にご関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
引用:truthsocial.com Donald J. Trump Google翻訳
このトランプ大統領の発表によって、S&P500だけでなく、ナスダック総合指数も下落し、ビットコインは、BTCUSDでは11万1300ドルから10万8000ドルまで急落しており、BTCJPYでは冒頭で紹介したように1,520万円台にまで急落しました。
ビットコインが大きく下落した背景には、ロングレバレッジや現物のリスク回避のために売りが殺到しており、トランプ氏がこの発表をしてからわずか4時間で約3億5000万ドルが清算されたと報道されています。
また先物市場でも、ビットコイン先物が約1億8100万ドル(日本円でおよそ262億4500万円)の損失、イーサリアム先物では約1億4200万ドル(日本円でおよそ205億9000万円)の損失となっていました。
ソラナ(SOL)、リップル(XRP)、ドージコイン(DOGE)などでも同様に損失が出ていました。
ビットコインの下落幅は限定的だった
上記のようにトランプ大統領の関税発言で下落したビットコインですが、実は下落幅は限定的で思ったほど下落し続けておらず、なおかつセンチメントもそれほど悪化しておらず、現在は下落前の状態に戻りつつあります。
執筆時点のビットコイン価格
一時は1,520万円台にまで下落していたビットコインですが、本記事執筆時点では1,540万円台にまで回復しつつあり、下落傾向が収束されていることが分かります。
仮想通貨の「恐怖と強欲指数」も回復
回復しつつあるのは価格だけではありません。
仮想通貨市場におけるセンチメントを分析するためのツールとして知られる、「Crypto Fear & Greed Index」の恐怖や強欲指数も回復しています。
画像引用:Crypto Fear & Greed Index
上の画像は本記事執筆時点の「Crypto Fear & Greed Index」です。
トランプ大統領の関税発言があるまでは74だったGreed(貪欲)指数が、一気に下落した昨日は66になり、本記事執筆時点では再び74にまで戻っています。
今後のビットコインに期待している動きが続々と報道される
トランプ大統領の関税発言があり、ビットコイン価格は一気に下落しましたが、下落幅は限定的であり、市場のセンチメントも回復してきています。
さらに今後のビットコインに期待していることが明らかである動きも続々と報じられています。
一週間でビットコイン現物ETFに27億ドルが流入
今後のビットコイン価格上昇がどれだけ期待されているかが分かるデータとして、ビットコインETFへの流入額は非常に有効でしょう。
ロンドンに拠点を置く投資管理会社FARSIDE INVESTORS(ファーサイド・インベスターズ)が発表したデータによると、2025年5月19日から5月23日までの一週間でビットコイン現物ETFに流入した総額は27億5000万ドルとなり、先週の流入総額である6億800万ドルのおよそ4.5倍にも達していることが分かりました。
画像引用:FARSIDE INVESTORS
なお全てのビットコイン現物ETFにおいて、2025年5月23日に流入額と流出額を総合してプラスになっていたのはIBIT(ブラックロックのビットコインETF)だけで、8日連続のプラスとなっています。
その一方で、GBTC(グレースケールのビットコインETF)は5月23日だけで8920万ドルが流出しており、ARKB(ARK 21シェアーズのビットコインETF)も7390万ドル流出していました。
もちろんトランプ大統領の関税発言によって、ビットコイン現物ETFの流入額は今後どうなるかはもうしばらく様子を見なければ分かりませんが、少なくとも関税発言があった後の23日にもIBITでは流入額がプラスになっているため、今後の価格上昇に期待している人が多いことが分かります。
米国の幾つかの州でビットコイン準備金法案が支持される動き
米国では2025年3月、トランプ大統領が「戦略的ビットコイン準備金」と「デジタル資産備蓄」の大統領令に署名しましたが、残念ながら現時点でこの措置は正式な法令にはなっていません。
ただ米国では、幾つかの州においてビットコイン準備金法案が支持される動きになっています。
これまで、ニューハンプシャー州のKelly Ayotte(ケリー・アヨット)知事がビットコイン準備金法案に署名して法令化されており、アリゾナ州でも放置された仮想通貨を州が取得できる法律を承認していました。
そして2025年5月23日付のXで、テキサス州のGreg Abbott(グレッグ・アボット)知事がビットコイン準備金法案創設に向けて動いていることを投稿しました。
米国の全ての州でビットコイン準備金法案が賛成されているわけではありませんが、少なくとも他の州に影響することが考えられます。
世界の企業でビットコインを採用する動き
近年、ビットコインを所有する企業が増えてきており、中でも特に有名なのが2020年からビットコインを購入し続けてきた、Michael Saylor(マイケル・セイラー)氏が率いるStrategy(ストラテジー)社でしょう。
ストラテジー社は現時点で約57万6320BTCを保有していると言われており、その推定評価額は622億4000万ドルとなります。
ビットコインATMセンターを運営し、仮想通貨関連の金融サービスを提供しているMoon Inc.のJesse Myers(ジェシー・マイヤー)氏が2025年5月23日、Xに投稿した内容によると、ストラテジー社は今後の20年で70兆ドルを保有するだろうと予想しています。
また、ビットコイン財務企業が全BTCの50%を保有するようになるとも予想しています。
ストラテジーは20年後には70兆ドル相当のビットコインを保有することになり、世界史上最も時価総額の高い企業となるでしょう。
ビットコイン・トレジャリー・カンパニーは全BTCの50%を保有することになり、これはほとんどのビットコイン保有者が想定しているよりもはるかに大きな額です。
引用:Jesse Myers X Google翻訳
実際、ビットコインを蓄積している企業は増えつつあり、その分野も広がりつつあります。
仮想通貨に関連した事業を展開している企業だけでなく、教育や医療、住宅建設からサイバーセキュリティなど、仮想通貨に直接関係のない世界中の大小の企業がビットコインを蓄積しつつあります。
上場教育企業であるGenius Groupは、ビットコイン備蓄を40%増加させたと発表しており、シンガポールの医療企業Basel Medical Groupにおいては、10億ドルのビットコイン購入を発表しています。
またスウェーデンのヘルステック企業であるH100 Groupが11万1785ドルで4.39BTCのビットコイン(BTC)を購入したと発表すると、その日のうちに同社の株価が37%上昇しました。
つまり米国だけでなく、ヨーロッパでも企業がビットコインを戦略的資産として受け入れているということです。
まとめ
米トランプ大統領の関税発言によりビットコイン価格が下落したものの、それほど大きな下落にはならず、少しづつ回復してきていること。
さらに今後のビットコイン価格に大きな期待を寄せている人や企業などが多いことについてご説明しました。
長い目でみていくと、ビットコイン価格は今後上昇していくのでしょう。
そかしそれまでの間に、トランプ大統領の関税政策がどのようになっていくかにより、影響を受けることもあるはずです。
トランプ大統領の発言には要注意ではありますが、今後のビットコイン価格の上昇や地位向上に期待できることには変わりはないでしょう。